pianississimo 2

〜〜〜 Très très faible 2 〜〜〜

先輩がこのアパルトマンを出て行く?
嘘......


のだめ、邪魔しないように頑張りましたけど。
追いつこうと必死になって、
置いてかれまいと思って
ピ・ア・ノ・・・音楽から逃げないで頑張ったのに……

解かってました。
先輩は先に行ってしまう人だって。
Parisここに来た時から、ほんとは解かってたんです。
のだめだって、ちゃんと考えて、幼稚園の先生じゃなくて、
先輩が行くとこについてけるように、ピアノ弾こうって思ったんですよ。


先輩が音楽に夢中になってるとこを近くに見るのがのだめの一番でした。
それなのになんで……
なんなん? なんでこうなるデスか?

頭の中が真っ白になって胸に穴が開いて、ヒューヒュー、凄く意地悪な風が のだめの心にあった大事なものをばらばらにして全部、浚って行っちゃう。
ズクンって心臓が変なふうに痛くなったから、両手で身体を抱いて踞った。
千秋先輩は優しいから、すぐに腕をのばして抱き締めようとします。

ダメですよ。
其処は昨日まではのだめの場所だったけど、
今でものだめが言えば先輩は空けておいてくれるってちょっぴり自惚れてはみるけど それじゃあ、ダメなんです。
先輩が考えて決めたことやなかと........。
だったらどうでも、のだめは我慢しなくっちゃいかんとばい。

我慢できるはずなんです。
だって、のだめは翼を広げて空に羽ばたく先輩を見るのが何よりも好きで
先輩が魔法の杖で奏でる音楽が大好きだから……
ここで見てます。
シンイチくんが自分の音楽に向かって旅立つ時に、余計な心配をさせて
先輩が上手に飛べないようなことがあったら、のだめは悲しくて死んじゃいますから。


ずくんっ
ズく・・ずッキン

凍えそうに冷たくて、心臓がうまく動かなくて胸が潰れそうな気がした。

―― ああ、このまま死んでしまったらシンイチくんも
―― のだめのこと、少しは思い出してくれますか?

駄目駄目、先輩はそんなこと考えるよりも……
音楽のことで満たされた先輩が一番、のだめが見たい先輩だから……
のだめも……先輩がいなくても、ピアノ頑張ります。
いつか絶対、先輩と同じ世界を飛び回れるように……
いつまでかかるか、わからないけど……

ちゃんと言わなきゃ、大人っぽく。
のだめもちゃんと成長してるって、先輩に見て貰おうって思う。

「……わかりました……」

涙は止めようと思っても、反対に余計に流れマス。
冷たくてシオッパイ……

あんなに我慢したのに
いつの間にか、先輩の腕の中にいました。

―― 馬鹿なのだめ……
―― のだめ、先輩がいないのに、ちゃんとピアノが弾けるのかな?
―― でも、弾かなくっちゃ。
―― そうしないと…… 先輩がちゃんと行けない……

そう思ったら、涙腺が土砂降りの雨の時みたいに決壊してました。
先輩は、ただ黙って、優しく背中をさすってくれて……

「ふぇ〜ン、のだめ・・・・ ヒック....... 
 シェ・・・ンパイ・・・・ツマですから……っく・・・・」